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止まらぬ涙
玄関に回って土間に入ると、突然空気がひんやりとした。
おばあちゃんは慣れた様子でさっさと上がっていってしまった。
薄暗い土間に立って目を慣らす。
ぼんやりと踏み石が見えてきた。
僕はゆっくりと踏石にあがって靴を脱ぐ。
下を向いた途端、灰色の石にボタボタボタと涙が落ちた。
泣いていたという事実に気づいてしまったら、涙が止まらなくなった。
僕は大きな踏み石の上にしゃがみ込むと、声を殺して泣いた。
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