俺の悩みを解決してくれないか?

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 そしてこの国は俺を嫌いなのかと疑いたくなる。集まった男たちはみんないい男だ。聞けばスペックだって悪くない。悪くないんだ。顔もいい、頭もいい。声だって良いし背も高い。俺は討伐旅行中にどっちも経験したが、まぁ全部任せる方が楽っちゃあ楽だし、どっちかと言えば『仕込んだ人』よりは『産んだ人』の方がキズが小さい気がする。  だから『ディ』を頼んだんだ。―――いやこれもどうかと思ったがな?『仕込む人を用意してくれ』って、なんだよって話だ。  まぁいい。まずは商人から紹介しよう。  王都に大きな店を構え、王族とも繋がりがある、平民の中では優良物件である。歳も24歳と働き盛りだし何より笑顔がいい。  行商人だって各国の王都を巡り高い身分の方々との覚えもめでたい。そして俺のためなら店を構えてもいいとまで言ってくれている。こっちも25歳とまぁ俺と10歳の差があるけど、許容範囲内だ。  そして冒険者。彼はとっても体躯が良くて、ちょっとやそっとじゃ倒れたりしないだろう。何よりこの5人の中で1番顔が良い。彼との子だときっと可愛い子ができる。そして彼は22歳と若い。俺とも歳が近いから、きっと仲良くできる。  次に子爵なんだけど、国の端に広大な領地を有し、領民との仲も良い。多分この子爵と一緒になればきっと俺の夢を叶えてくれるだろう。歳は30歳と、ちょっと年上すぎる気もするがウチの両親は年の差20歳だから問題ない。  そして別に紹介しなくてもいいだろうけど、男爵。冒険者には負けるが顔も声も身体付きも、申し分無い。爵位についても呼び方が気にならなければ問題ないだろう。彼自身についてはなんの憂いもない。この人、19歳で男爵家三男でお家騒動も無さそうで、男爵でなければ1番の有力候補なんだよ。  さぁ、解決の時間だ。  これを読んでるみんな、しっかり考えて答えて欲しい。  商人の名前は『シャン・ティーク』  行商人は『リュー・ネイン』  冒険者は「モラル・ハラル」  子爵は『ヒータ・バン・シーラ』  わかって頂けただろうか。そう、生粋の日本人ならこう聞こえたはず。 「社畜」に「留年」、「モラハラ」と「人柱」。  唯一、唯一まともなのが男爵なんだ。その名も『ウラ・ゴォ・シア』。なにかに変換できそうだけど、俺の知らない単語になりそうだから、それはいいんだ。俺の名前が人身御供になるだけで。  嫌だ。人身御供だけは絶対嫌だ。男爵と一緒になればこの名前と一生生きていかなくちゃならない。  無理。絶対無理。  だからと言ってなぁ。  社畜はないだろう、社畜は。前世を思い出して毎夜泣くわ。  辛かった学生時代を思い出してしまう留年だってごめんだ。  モラハラした覚えはないのに、旦那がモラハラ呼ばわりされるのもどうかと思う。  人柱なんてもってのほかだろ。なんだ、誰のための人柱なんだ。お前の跡になにができるんだ。橋か?橋なのか?  ここまで聞いたなら、絶対に答えてもらうぞ?  さあ、俺は誰と結婚したらいいと思う? 了
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