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 初めて会った日、おれとユイは数秒間見つめ合った。一目惚れだった。だけど、おれよりも甘え上手な弟がユイといい感じになっているのを見て、身を引こうと思った。  二回目に会った日、ユイはおれの顔を見た途端にぱっと笑顔を見せるといきなり抱きしめてきた。弟みたいに愛想がいいわけではないし、なにより恥ずかしかったから、おれはただ硬直していた。気がつけば、その日のうちにおれとユイは一緒に暮らすことになっていた。 ☆☆☆ 「大福(だいふく)、ただいま。今日は打ち合わせばっかりで疲れちゃった。今のお客さんはね、やりたいことがコロコロ変わるから方針決めるのが大変なの」 「おつかれさま。大変だと言うわりに楽しそうだな」  今日もユイは帰ってくるなり仕事の話だ。おれは仕事の内容についてはまったくわからないが、ユイがイキイキしているのはなんとなくわかる。仕事が好きなんだろうと思う。 「ちょっと充電させて」  ユイはおれの返事も待たずにぎゅうっと抱きついてくる。ユイの鼻先がおれの首筋をくすぐるから、こそばゆくて身をよじった。  おれの願いはただひとつ。ユイと幸せに暮らすことだ。
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