1.母性に包まれた記憶

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「おやおや、私のこと忘れちゃったのかな?」 「バクさん!!!!…ってあれ?」  バクさんが現れると夢は止まり、何故か私は話せるようになっていた。 「会った時も可愛らしいお嬢さんだったけど、産まれた時から随分可愛らしかったんだね」  そう言われて自分を見ると赤ちゃんの身体のままだった。 「あれ、あれ…?」 「混乱させてしまってごめんね」  ニコッ、という音が聞こえるように微笑むバクさん。どうやら彼が何が一枚からんでるようだった。 「あまりにもお嬢さんが苦しそうだからついつい夢を途中で止めたんだ。僕は夢案内人だからね。これくらいへっちゃらさ。」 「は、はぁ…」  どうやら夢案内人の中では常識らしい。でもそのおかげでこの辛い夢から一時的にでも解放される事が出来た。 「君が願えばこの夢を僕が貰う事が出来るよ。どうする?」 「確かにこんな辛い夢はもう見たくない…」 「それなら貰っていくよ」 「待って!」  私の声に驚いた様子のバクさん、自分でも予想より大きな声が出てしまって恥ずかしい。
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