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「確かにとっても辛いの。でもすごく気になる事があるの。」
「どうしたんだい?」
「この夢の喧嘩してる女の人、お母さんそっくりなの。」
「それがどうかしたのかい?」
私の顔を覗き込みながら私の様子を伺うバクさんは何故か威圧的に感じることもなく心に安心を与えてくれるようだった。
「なんか、本当に夢なのかなって思うくらいリアルに感じるの。そしてなんだか物凄く不安なの。大事な何かを忘れてしまってるんじゃないかって。」
私は言葉を飾らず、素直に吐き出しその旨を伝えた。夢案内人のバクさんならきっと解決してくれるんじゃないかって。
「夢は記憶の整理とも言われているからね。もしかしたら本当の記憶かもしれないし、混同してるところもあるかもしれない。」
「そうなんだ………」
曖昧な回答に落ち込んでいる自分の様子を隠し切ることはできなかった。その様子を見かねたのかバクさんは言葉を続けた。
「ただ、夢を本当の記憶に近づける事は出来るよ。」
「ええ?どういう事?」
「私は夢に関する事なら大抵の事ができるんだ、見たい夢を見せる事、昔の記憶を夢に見せる事、なんだって出来る。だから君が望むならなんでもしてあげるよ。」
バクさんって凄い人なんだなと関心していると、バクさんから一言告げられる。
「そろそろお嬢さんはお目覚めの時間だ。明日また呼んでくれればくるからどうしたいか教えておくれ。」
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