2・理想のモデルは何処にいる?

7/9
前へ
/212ページ
次へ
「すげー……、すげー話だよな……なっ、紗加」 「ええ、おめでとう。瀧人」    紗加はすっと立ち上がり、おれの横に立った。  そして肩に手を置き、腰を屈めて耳元でささやく。   「さすが、わたしが見込んだだけあるわね。ただのグラビア撮りで終わらせる気ははじめからなかった」 「みんな、紗加のおかげだよ」  紅色に染まった爪先がおれの頬をすべり、そのまま唇をなぞってくる。  とたんにしびれるような感覚に襲われる。 「今夜はお祝いね。家に来てちょうだい。ゆっくり対策を練りましょう。とっておきのシャンペンもあるから」 「って、旦那は?」 「今日から出張よ。海外だから二週間は帰ってこないわ。タイミングがいいことに、ね」  紗加は言った。瞳の奥に媚の色をまとわせて。  
/212ページ

最初のコメントを投稿しよう!

634人が本棚に入れています
本棚に追加