1・プロポーズをされた日

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   典型的な職場恋愛。  ふたりの未来もきっと、平凡を絵に描いたようなものになる。  身を焦がすような大恋愛の末に結ばれたってわけじゃない。  でもそんなのは映画かドラマのなかだけの話だろう。  両親も見合い結婚だけれど、今はとても仲のいい夫婦だ。  断る理由なんて、何もない。  わたしを望んでくれるひとと一緒になること以上の幸せなんて、あるんだろうか。 「本当に、本当にわたしと?」 「じゃあ……」 「断るなんて、そんなわけ……うれしいに決まってる」  俊一さんは目を細めて、わたしを見つめた。 「ああ、よかった。ほっとしたよ。振られたら目も当てられないと思ってた。ひとり寂しく大阪に行くのかって」 「大阪?」 「ああ、昨日、部長から内々に話があってね。向こうの企画開発部門に転属になるんだ」
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