10人が本棚に入れています
本棚に追加
とにかく四方田女史の夢の国愛がすごい。この国の隅々まで熟知している。こんなことなら、僕たち三人の、特に僕の出番はないんじゃないかと不安に思い始めた頃、お昼の時間になった。
「先生、1組の東海林、西川と2組の南雲です。お昼に入ります」
点呼の担当の先生に報告する。
「お、ご苦労さん。お前たち聞いたぞ? 四方田女史とマドンナ北峰とまわってるらしいな」
「えっ? どうして知ってるんですか」点呼担当は卓球部の顧問だった。
そんなに他の生徒に見られてるなんて! 僕は焦った。
「マドンナに告白しようと、チャンスを狙ってる生徒がいるからな。まぁ、四方田女史がガードしてるから、そのチャンスは無さそうだが」先生がニヤニヤ笑っている。
「先生、楽しんでませんか?」悟が文句を言うと、
「そうですよ。俺らだって……」
祥介の発言を遮った先生が、
「トンナンシャーが金魚のなんとかって言ってたぞ」そう言うと、先生は吹き出し大笑いした。
「悪ぃ。まぁ、元卓球部の意地を見せて頑張れよ」先生は、笑いをおさめ僕ら三人の背中を軽く叩くと、他の生徒の点呼に戻った。
悔しい。非常に悔しいけど、まさにその通りなので何も言い返せなかった。
「……飯食おう」
「……そだな」
「……金魚の〇〇って……」
ダメージデカ過ぎだよぉ。
最初のコメントを投稿しよう!