いざ、夢の国へ

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「おーい、そこのトンナンシャー」  物思いにふけっていた僕はその声で現実へ引き戻された。卓球部の顧問が走ってくる。 「先生、なんすか?!」悟が不機嫌そうに答える。  もう少しでここに、日和ちゃんとお母さんも来る。 「今、顧問来たら不味くないか」祥介も心配そうだ。  顧問は少し息を切らせながら、 「四方田女史とマドンナからの伝言だ。マドンナの妹の体調が優れないらしい。大事を取って病院へ連れて行くから早退させてくれと。四方田女史はマドンナに付き添うと言ってたな」  僕ら三人は互いに顔を見合わせた。 「南雲のケータイに電話したけど、繋がらなかったって言ってたぞ?」  悟が急いで制服のポケットからケータイを出すと、 「悪りぃ、電池切れだ……」  悟が頭を垂れた。って言うか、悟、北峰さんと電話でやり取りする仲なのか、羨ましすぎる!! 「あの先生、妹さん大丈夫なんでしょうか」僕は心配のあまり聞いた。 「詳しくはわからないが、妹がここへ来てたのか? 確か校長の話だと断ったと」  顧問の話を遮り「さぁ、わかりません」と祥介が返事した。  この後、二人が荒れたのも無理はない。何故なら、顧問が一緒にアトラクションをまわったからだ。 「点呼終わったら帰る時間までヒマなんだ。せっかくだからまぜてくれよ」だと。 まぁ、その顧問は楽しそうだったけど。 「これのどこが思い出に残る卒業旅行になんだよ」  二人は、不貞腐れていたけど僕は内心、日和ちゃんと北峰さんが心配だった。  お土産を買うとき、二人の為にお揃いのマスコットを買った。  僕これ、北峰さんに渡せるのか?!
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