10人が本棚に入れています
本棚に追加
卒業式 当日
今日、卒業式を迎えた。
式は粛々と進み和やかに解散となった。僕は、卒業旅行から帰った後、北峰さんにお土産を渡せなかった。
悟の話では、日和ちゃんの体調も数日で安定を取り戻したらしい。それを聞いてホッとした。
結局、僕は日和ちゃんと会えず終いだった。そして、北峰さんと、もう会うことはなくなる。もし会えるとすれば、学年同窓会の時? まだまだずっと先の話だ。思わず涙ぐんでいると。
「芳人、しんみりしちゃって。どうしたんだ?」
祥介に羽交い締めされた。
「うわぁ、祥介?」びっくりした。
「まぁた、じゃれ合って」と笑い声と共に突っ込まれた。
「えっ、北峰さん?」
「俺もいまーす」
悟と北峰さんが教室に入ってきた。
「祥介くん、芳人くん。卒業旅行の時、バタバタしてお礼が言えなくてごめんなさい」
悟から聞いていたけど。
「直接、お礼が言いたかったの」
なんて優しい北峰さん……
僕も勇気をだして言うんだ!
「ぼ、僕、あの、北峰さんと最後にこうしてお話できたこと、一生忘れません。ありがとうございました」
僕が頭を下げると、何故かクスクスと笑い声が聞こえる。
……えっ?
「芳人くん、私、君と同じ高校へ通うからまた会うと思うの。今後とも宜しくね」
……えっ、えぇーっっ!!
僕が信じられずワナワナ震えていると、
「芳人、良かったな。俺らトンナンシャーペーは高校へ行っても一緒だぞ」
悟、北峰さんは、女子大付属に行くんじゃなかったのか? まさか、僕は騙されたのか……
最初のコメントを投稿しよう!