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卒業旅行 前日
ついに僕たちは、無事に三月を迎えることができた。受験生活というのは、僕が今まで生きてきた人生の中で一番長くて辛く灰色の毎日だった。お陰で無事に志望校に合格できたのだけど。
これから、卒業式までカウントダウンが始まる。その前に例の行事が待っているんだ。
『卒業旅行は夢の国へ』
明日の相談をするために、放課後の教室で僕たち三人は集まった。
南雲悟は、「それで、どうする?」と聞いてきた。悟とは中学になってからの出会いだが、親友と呼べる程の間柄。小柄な体躯に瞬発力が持ち味で行動力がバツグンによい。元卓球部のエースだ。
「どうするって?」そう答えたのは西川祥介。祥介は悟と幼馴染みだ。ガタイがよく、いつもどっしり構えてる感じで頼りがいがある。元卓球部の部長だ。
「そんな度胸、僕にはないよ」
そう言ったのは僕。僕の背は高い方ではあるんだけど痩せぎすの細身、そして優柔不断の上ヘタレの元卓球部員……
そんな僕たちが思いを寄せる憧れのマドンナ北峰心春。
そんな彼女と一緒に夢の国をまわりたいなんて、お願い出来るはずないだろう?
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