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「あーっ、悟くんここにいたのね。お邪魔しまーす」そう言って入って来たのは、当の北峰さんだ。僕は焦った。今の話、聞かれただろうか?!
北峰さんは、悟の側まで歩いて来ると、
「日直日誌書いて、職員室へ持って行ったわよ」悟はハッとして、
「あっ、悪りぃ、忘れてた」
頭をかいている。
「北峰ちゃん、悟がすまんな。迷惑かけて」祥介が保護者のように話す。祥介にはそういう所があるんだ。
北峰さんは笑いながら手を振って、
「別に大丈夫よ。ところで、三人集まって何話してるの?」
あぁっ! もしかして僕も人数に入ってる? 同級生として認めてもらえてるのか、あぁ、嬉しい……
「心春ちゃんさ、明日の卒業旅行だけど」
「うん、何?」
北峰さんがキョトンとした顔をしている。その顔も可愛いのだけど。
あ、ちょっと待って、悟、僕の心の準備ができてないよぉ!
焦って口をパクパクする僕に、悟と祥介の冷たい視線。
「芳人なんだよ? 北峰ちゃんさぁ、明日の卒業旅行、誰かとまわるの決まってるか?」
祥介が言ったぁ……
「もし決まってなくて、良かったらだけど、俺らのグループと一緒にまわらない?」
悟が言った。僕は緊張のあまり何も言えない……
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