卒業旅行 前日

6/8
前へ
/17ページ
次へ
 僕たちは、立ち話していたが「まぁ、座って話そう。失礼しまーす」  そう言うと、北峰さんはガタガタと椅子を引いてなんと僕の隣の席に座った!!  悟は北峰さんの後ろの席に座り、祥介は僕の後ろの席に座った。 「私ね、保育園卒園と同時に引っ越したの。両親が離婚したからなんだけど」  そ、そんな、北峰さんの個人情報を僕なんかが聞いても良いのだろうか……  悟は机にほおづえつき、祥介は腕を組んで聞いている。  まさか、その事情も二人は知ってるのか…… 「お父さんが地方へ転勤になって、私が連れて行かれたの」  なんで? それが離婚する理由? 「私の妹、体が弱くて学校もあまり通えてないの。お母さんは、妹のことしか見てなかったから、夫婦喧嘩が耐えなて。あの当時は本当に地獄……」  そんなことが……   僕の家族を考えた。家族仲もいい方だし、そんな風に悩んだことがない。それは恵まれてるのか。僕はしんみりした。 「東海林くん、そんなしんみりした顔しないで。ねぇ、芳人くんって呼んでもいい?」  えぇー?!   僕の顔がまた真っ赤になった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加