猫の生き方

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 塀の傍まで来た人間は嬉しそうな声を上げ、師匠を撫でようとしてばしんと払われていた。  懲りない人間は美味しそうな匂いのする何かを出したけれど師匠はそれも叩き落とした。  あれは食べ物だったに違いないのに。  ひとしきり僕を甘やかした後、師匠は僕の首を咥えて場を後にした。仲良しムードに僕の喉は鳴っていた。 「師匠~ にゃは~」  運ばれながら甘えた声を出した途端に僕はポイと放り出された。お遊びは終わりだと言う様に師匠はまたツンとした師匠に戻っていた。 「次だな」  促されるままに僕は開けた場所に案内された。師匠は公園と呼んでいた。  片隅に僕達が座り込んでいると知らない猫が次々やって来て思い思いの場所で距離を取りつつ丸まった。 「覚えて置け、これが近隣に縄張りを持つ面子だ。集会は定期的にある。必ず顔を出せ」  師匠は毛繕いしながら僕にそう言った。  その場の誰もがのんびりと自分しか居ない様に振舞っている。でも距離を詰め様としない。自分のペースで過ごしているのにキッチリ他者と境界を造り、かつ何とも言い難い仲間意識を形成している。集会? これが?  初めて肌で感じる独特の空気に僕はやや戸惑っていた。
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