猫の生き方

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 こんな互いに無関心にしか見えない中でやり取りしていたと言うのか。会話すらなかったように思えたのにどんな意見交換がされたと言うのだろう。師匠と他の猫達を見比べても皆が僕に無関心に思えた。 「そのうち分かる様になる。欠席はするな」  師匠は言うと目を閉じてしまった。  動かなくなった師匠に退屈しあちこちを歩き回ったけれど、誰も何もしようとしなかった。奇妙な集会はいつ迄も続きやがて闇に月が映えた頃、一匹また一匹と去って行った。  誰もいなくなると師匠は目を開いて腹が減ったとぽつりと言った。  後に野鳥や小動物、爬虫類や昆虫などの捕まえ方を師匠は教えてくれたのだけど、数日置きに通う所がそこだった。  なんとそれはあの人間が住む建物だった。  師匠は塀をついと飛び降り、気兼ねするでもなく建物に近づくや脇の小さな小屋の前に進み出た。  師匠が座る隣に並ぶと僕は初めて見るその大きな生き物に思わず毛を逆立てていた。 「これは犬だ。野良猫なら警戒すべき相手だ。だがこいつに関しては大丈夫だ」
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