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ある雨の日に猫を拾った。
三毛猫の雌で、保護した私の家にすぐ慣れたことから元は飼い猫だったのではないかと獣医さんに言われた。
名前は付けていない。里親に出す予定だから。
私のような安月給のOLが猫を飼い続けるなんて経済的に不可能だと思うし、猫を飼うと婚期を逃すと聞いているので妥当な判断だと思っている。
それにしても、この猫ちゃん。
『みあ~』
私にとても懐いている。
立っていれば足元にすり寄り、座っていれば「ここが自分の場所だ!」と言わんばかりに私の膝の上で丸くなった。
SNSや掲示板で里親募集をしてみるが反応は芳しくない。やはり、生後4年と言われたのが大きいだろうか。そう、何を隠そうこの猫ちゃんはすでに立派な大人なのだ。
子猫ならばまだ貰い手が見つかりやすいが、成人猫だとなかなか貰い手が見つかりにくい。幸い、私の今住んでいるアパートは動物OKなので問題はないが、長期滞在されると金銭的問題が発生する。
「はぁ、もし私に彼氏がいればなぁ」
きっと相談に乗ってくれるのだろう。だが、悲しいことに彼氏いない歴は年齢と同じだ。因みに、一番の親友は欧米に逗留中。諸事情により親や家族にも相談できず、八方塞がりだ。
「まあ、拾ってきたのは私だし、最後まで責任取らなくちゃアカンよね」
幸い猫ちゃんは私に懐いているし、私がいない間、部屋を荒らしたりもしない。絶体絶命と言うわけではないのだ。
『んああ~~』
私の膝に頭を擦り付けてくる猫ちゃんの首を優しく撫でてやると、猫ちゃんは腹を出して転がった。うっとりと幸せそうにごろごろと喉を鳴らす猫ちゃんを見ると、私も自然と笑みが浮かんだ。
「大丈夫だよ、君が安心して暮らせるまで一緒にいてあげるからね」
『なあ!』
まるで私の言葉に返事を返したように鳴く猫ちゃんに、私は声を出して笑ってしまった。
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