私は。

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 ──キーンコーンカーンコーン  ここは花織小学校5年3組。  私は昼休み開始のチャイムと共に教室を見渡した。昼休みが始まって、みんな思い思いの事をしている。  今日は雨の日だから、いつもより教室に残っている子が多い。  数人は教室の扉を開けて、廊下へと飛び出している。  図書室に行く子に、忘れ物をしたから、他クラスの友達に借りに行く子、お手洗いを済ましに行く子など用事は様々。まあ、私が廊下に出る事は出来ない。もし私が廊下に出たら、みんな怖がるもん。  窓際では、大人しめの女子グループが楽しそうにお喋りしている。  恋バナをしていると思っていたら、私の事を見て、私の事を汚れてるなんて言ってる。  私の近くでは、やんちゃな男子グループが騒がしくじゃれ合っている。  一人が押された拍子に私に結構な勢いでぶつかってきた。大きな音が鳴る。その子は何も言わずに笑いながらグループへ戻っていった。  私から一番遠い、教室の後方では、男女混合の目立つグループが、ワイワイと勉強の問題を出し合っている。  国語に算数、理科に社会。思いつく限りの沢山の問題を言い合っていた。うん。私はどの問題も答えられる。だって何回も繰り返しているから。  廊下側のある席では、一人の男の子が静かに本を読んでいる。  あの子はいつもこんな感じ。寂しく無いのかな。ああ、でも、私も似たような感じかもね。私にも友達はいないもん。  教室の中心の席では、女の子が絵を描いている。  わあ、上手だなあ。もっと近くで見てみたいけど、無理だな。  あ、大人しめの女子グループがこっちにやって来た。雑巾を持ってる。  その中の一人が言った。 「汚いから、綺麗にしなくちゃね」  他の子も頷く。  そうして、女の子達は私の事をゴシゴシと拭いていった。
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