ホワイトデーには好きな人に気持ちを送ろう

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「なあ、ホワイトデーってさ、何返すもんなんだ?」 オレはホワイトデーについて、とりあえず身近な奴にリサーチすることにした。 学校で体育の時間 今日はバスケットボールだった。 チームに分かれて試合していたが、自分の出番じゃない時間は体育館の隅っこで待っているだけだった。 その時間を利用して同じように出番待ちの友達の土田に聞いてみた。 「お!朝陽!お前ホワイトデーにお返しするのか? そんなこと今までしたことなかったじゃないか!?」 「……まあ、今まではな……。今年は紬がいるから」 「ヒューヒュー♪朝陽君、男前ー!いいねえ、両想いは」 土田はからかうようにそう言ってオレの質問には全然答えない。 役に立たない奴だ。 「何返すもんなんだ?」 反対隣りにいる城田にも聞いてみた。 「まあ ふつうはお菓子だろ? チョコとかクッキーとかキャンディーとかさ」と城田が答えた。 「おい、それじゃ義理のお返しだろ? 本命にはそれじゃダメだろ~? 指輪とかネックレスとかだな!花束も忘れずにな!」と土田が言った。 「指輪?ネックレス!?花束も!? オレ、お前らと同じチョコしかもらってないのに!? ……女、ぼったくりだな」 「あはははははは!なんだよ 朝陽! お前 彼女からオレ達と同じチョコしかもらってないのか~? 意外と愛されてないんだな~ かわいそうに!」 土田が大笑いしてそう言った。 「うるさい」 オレが土田を睨んでそう言うと、城田は場を収めるようにオレ達の肩を叩き、こう言った。 「まあまあ、でも、本命の彼女だったら、だいたいそんなかんじなんじゃないの?」 「アクセサリー?無理。オレ、そういうの何買ったらいいか全然わからない」 オレが小さい声でため息をつくようにそういうと土田がまたこう言った。 「サプライズで用意すると喜ばれるけど、それは上級者向けだな。 朝陽みたいな初心者は一緒に買いにいけばいいよ」 「初心者で悪かったな」 「あはは 土田だって、別に上級者じゃないだろ~」 城田が笑ってそう言った。 「うるさいな オレは彼女はいなくても、恋愛の戦略はよく知ってるの! いつか とびきりの彼女ができた時に備えてお勉強を怠らないの!」 「よく言うよ」 土田と城田が楽しそうにやり取りをしていたその横でオレはますます頭を悩ませていた。 アクセサリーだって? 一緒に買いに行く?どこの店に?なんて言って誘って? ホワイトデーのお返し一緒に買いに行こう? これじゃあまりに直球すぎないか? サプライズが上級者向けと言ったって、これじゃあんまりにも情けない。 お返しだということぐらい内緒にして店まで連れて行きたい。 今年のホワイトデーは平日だ。 その前の土日にでも誘った方がいいんだろうか? ついでにデートできるし。 金曜日、いつものようにオレ達は放課後教室に残って勉強し、帰りは紬を家まで送って行った。 なかなか誘えずにすぐに家についてしまった。 「ありがとう朝陽君。また月曜日ね」 そう言って紬が家の中に入ろうとするので、オレは慌てて止めた。 「あのさ、明日暇か?」 「え?」 「明日、買いたいものがあるからつきあってくれないか?」 「え?買いたいもの?何?」 え、何ってお前のアクセサリーだけどそんなの言えないし 「えっと、鞄?鞄とかそろそろ新しいの欲しいなと思って」 オレがそう言うと紬はオレのリュックを見て不思議そうな顔をした。 「鞄?それ、まだ全然きれいに見えるけど」 しまった。鞄は最近買い換えたところだった。 「ま、鞄とか靴とか色々、見てみようかと思って。紬買い物得意だろ」 買い物得意ってなんだよ。 自分で言っててどうかと思ったが、紬は嬉しそうに笑った。 「うん!いいよ!見立ててあげるね!まかせて!」 「あ、ああ、頼むよ。じゃあ明日11時ごろ、前に待ち合わせした場所でいい?」 「前に?映画行ったときのこと?」 「ああ」 「わかった!11時にね!わあい、うれしい!楽しみ!朝陽君ありがとう誘ってくれて!!」 「いや。別に、じゃ明日」 「うん!明日ね!バイバイ!」 なんか、ずいぶん喜んでたな。 まさかホワイトデーのお返しを買いにつれて行くってばれてないよな? オレは城田からわりとリーズナブルで高校生ぐらいの女の子が好きそうなアクセサリーショップをあらかじめ教えてもらっておいた。 明日はうまいこと誘導してそこへ連れて行くつもりだ。 11時に待ち合わせて、とりあえず食事して、次に一応メンズショップでオレの靴とかを物色するふりをして、その後目的のアクセサリーショップへ連れて行く! そういう段取りで行こう!よし!
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