夏梅姫

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 どのくらいの時間そうしていたのか  目を開けると針の様に細い三日月が笑っていた  街明かりのせいで星は霞んでいたけれど  名も知らぬ星座が幾許か瞬いていた  人気の無い公園には遠くの雑踏が響いてきて  耳をくすぐる青搗色の夜風が頬を撫でていく  澄んだ空気を吸い込んでいけば  夜の粒子が肺を満たしていく  人目を憚らずにあくびをした時  それが君との出会いだった
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