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ベッドルームではなくリオンの部屋の狭くて古いシングルベッドに二人で入ってみたものの、過度の緊張を覚えたウーヴェの心身が昂ぶった気持ちを抑えることが出来ないようで、なかなか眠りが訪れてこないようだった。
そんなウーヴェを背後から抱き寄せて横臥していたリオンは、ウーヴェの肩や首筋に何度もキスをし、ようやく薄くなった痣に早く消えろと持てる限りの怒りをぶつけるように呟くと、ウーヴェの腕がそっと上がってリオンの頭に添えられる。
「…………ダンケ、リーオ」
「オーヴェ、明日から実家に帰るんだよな」
「あ、あ……そうだな」
その間はこうして温もりを感じることは出来ないだろうから実家に持っていって欲しいものがあるとリオンが提案をし、ウーヴェが肩越しに蒼い瞳を見つめる。
「リーオ?」
「特別に、今回だけ特別に! レオを連れて行けよ、オーヴェ」
今リビングのソファに鎮座している異様な大きさを誇るテディベアをスパイダーの助手席に座らせて実家への旅の相棒とし、実家では俺の代わりに今回だけ特別にハグしていろと、特別にとの言葉を何度も繰り返したリオンにウーヴェが咄嗟に何も言えずにいると、肩に顎を載せたリオンがウーヴェの耳朶にキスをしながらそうしてくれと優しく強請る。
強請る形で伝えられたリオンの心に感謝しつつ黙って頷いたウーヴェは、レオにお前のパーカーを羽織らせて連れて行くと笑うと、リオンが賛成の声を挙げる。
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