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「パーカーでもシャツでも何でも良い」
ウーヴェにとっては精神的な負担の大きい実家への帰省であるため心が落ち着くのならばお前の思うようにすればいいと頬にキスをしたリオンは、腕の中でウーヴェが窮屈そうに寝返りを打った為、可能な限り壁際に身を寄せる。
「ありがとう、リオン」
「…………ん」
短い感謝の言葉に込められた膨大な思いを受け止めて更に短い言葉で返したリオンは、今度はウーヴェの背中に腕を回して抱き寄せると、明日からの日々に備えてそろそろ寝ようと欠伸をする。
「暫く不自由になるが……」
「ああ、平気。メシが食いたくなったらゲートルートに行くし、面倒くさかったらホームに帰る。でも、休みが取れたらそっちに行く」
だからその時は迎えに来て欲しいとウーヴェの額にキスをすると、ウーヴェが目を伏せて小さく頷く。
「うん」
「お休み、オーヴェ。ちょっとでもゆっくり寝ろよ」
もしも怖い夢を見たとしても俺がいることを思い出してくれと囁いて額を重ねたリオンにウーヴェもお休みを告げて目を閉じる。
緊張を覚えた身体は眠りを欲していて、間もなくウーヴェの意識は薄れていくのだが、眠りに落ちても暖かな金色の光に包まれているような心地良さを感じているのだった。
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