【ショート小説】しゃべ部 ~豚骨のある声優~

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 すっかり口調がフランクになって、ありがたい気持ちでいっぱいになり、2つ返事で承諾した。  康介に話すと、 「凄いじゃないか。事務所に登録したら、もう声優として活動が始まるんだろう」 「うん。そうだな」 「お前の演技には、豚が入っていたんだよ」 「また豚か…… 」  文彦は、全力で演技にぶつかって、必要だと思ったから自分なりのシナリオを作ったのである。  これはクリエイティブにシナリオと向き合った結果なのだ。  そしてそれを理解してくれる人がいた。  業界に入ってみてわかることだが、プロとして一流になるためには、創造力が不可欠な要素なのである。  決められたシナリオに感情を込めて読むだけでは、血の通った演技はできない。  言葉に現れていない、背景にあるイメージを掘り起こし、自分なりの解釈を加えることで、演技に命が吹き込まれる。  それを文彦は肌感覚で理解していた。 了 この物語はフィクションです 続編にご期待ください
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