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瀬野伊織(セノイオリ) Part
千明っちがニコッと笑顔を作り、早口で何かを言ってドアをバァンと開けて生徒会を飛び出て行った。
「………騒々しい方ですね。」
雅先輩が呆れながら言う。いやぁ理久斗っちに構ってる時の先輩もなかなかだけどぉ(笑)
須藤先輩の方を見て、視界に入った理久斗っちが妙に静かなことに気付いた。
「……なぁ、今、あいつなんて言った?」
聞いただけだと普通に喋ったみたい。違うのはビックリマークがないくらいかなぁ?って感じのトーンで理久斗っちが呟く。
「早口すぎて聞こえなかったよ!なんか書類がどうとかって言ってなかった?」
「風紀委員とも言ってなかった?あいつ風紀委員なの?」
「いやっ…そうじゃなくて、名前………」
理久斗っちは千明っちが出ていった扉の方を見つめたまま食い気味で反応する。
なんかあったのかなぁ?
「…新城千明、俺は親しみを込めて千明っちって呼んでるけどねぇ〜!」
あんまり触れない方がいいかなと思い、普段通りに答える。
「風紀委員第2学年代表で、委員長からの書類を空牙にお願いしますと言っていましたね。空牙の知り合いなんですか?」
そう言いつつ雅先輩が下を向いている理久斗っちの顔をのぞき込む。
「……理久斗?」
同様に歩と旭が理久斗っちの様子に気づき、歩が正面に回り込み、名前を呼ぶ。
「っ!ああ、いや、なんでもない!!!」
歩と目が合った理久斗っちがパッと顔を上げて笑顔を作る。
いつもよりちょぉーっとだけ変な気がするけどぉ……理久斗っちがなんでもないって言うならそれまでかなぁ。
「本当ですか?あの風紀委員に何かされたとか……」
「何も無いって!!雅、そうやって人の心配ばっかりするのは駄目だって、言っただろ?!?もっと自分も大事にしなきゃ、駄目なんだぞ!!!!!!」
「っ…理久斗…!そうですね、すみません。」
雅先輩は顔を赤くして感動で涙ぐみながら理久斗っちと見つめ合う。
それに歩と旭が真横でガン飛ばしてるの、気づいてないのぉ…?
「ん…?え、あ!!!」
「旭?どうしたの?」
突然旭がうなり、大声を上げる。
「あいつの苗字、新城って…」
「?…………え、もしかして」
旭を不審がった歩も、旭と同じ表情をする。
「…新城千明。生徒会副会長、新城和興(シンジョウカズオキ)の弟だ。」
今まで黙っていたかいちょーが書類を整えながら言う。
「「「「えぇっ!!??」」」」
俺とかいちょー以外の4人が声を揃えて叫ぶ。
「やっぱりぃ?」
「やっぱりって、貴方知っていたんですか!?」
「いやぁ、真偽は知らなかったけどぉ、名前的にもしかしたらーってね。」
まぁほんとにそうだとは思ってなかったから俺もびっくりしたけどねぇ。
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