5人が本棚に入れています
本棚に追加
「……紅、おい、紅起きろ」
頭上から声が聞こえてくる。
女性の声だ。
「おい、來夢、起きろって。」
隣からは夏樹の声も聞こえてくる気がする。
「──ん、後5分……」
刹那、來夢の周りの空気が一瞬にして下がっていく。
「私の授業で居眠りをするとは、随分と舐められた物だな?」
威圧的な声とともに振ってきたものは拳。
「いってぇ!?」
思わず飛び起きると目の前にはゴミを見るような目で見下してくる腰まである黒髪を下ろした女……化学を担当する教師、和泉静がいる。
ちなみに静という名前とは裏腹に彼女は横暴教師の名で通っている。
「私の授業を無視した罰だ。
貴様には私特製の補修プリントを10枚やってもらう。」
「げ、」
「勿論、終わるまで学校に居残りだ」
「うわぁ……」
來夢は絶望で机に突っ伏する。
「私の授業で寝ようとするからだ。」
そう言い放つと静は教壇へと戻っていった。
そんな静。
本来ならば、今すぐにでも解雇にされてもおかしく無い教師だが、今もなお教師を続けられているのには理由がある。
彼女は、非常時の戦闘要員となっているのだ。
最初のコメントを投稿しよう!