プロローグ

2/6

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
「え……と、取り敢えず、学校に着いた訳なんですけど」 「はい」 「事情を説明してもらってもいいかな? なるべく分かりやすく」 「分かりました」  彼女は淡々と話し出す。 「桜華澪亜と申します。 本日より、吸血鬼(ヴァンパイア)の鬼憑であらせられる來夢様の護衛を勤めさせていただきます」  彼女──澪亜は先程話したことと殆ど同じ内容の言葉を口にする。 「うん、わからない」 「……そうですか」  そう言うや否や澪亜は來夢の腕を掴んで走り出す。 「……っ、お、おい!?」 「無礼は承知です、來夢様」  澪亜は空き教室の一室に入ると鍵を閉める。 「ご無礼をお許しください。 ですが、こうするしか」  澪亜は來夢の首筋へと手を当てる。  刹那、手刀となった澪亜の手が來夢の首筋に突き刺さる。  血が吹き出る。  意識が、闇へと堕ちていく。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加