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「おはようございます、來夢様」
意識が闇の中から戻ってくる。
先程も聞いたような言葉が聞こえてくる。
「ん?ああ……」
「……お分かり頂けたでしょうか。
最強の鬼憑『吸血鬼』であることを」
「ああ……」
來夢は澪亜の指先を見つめる。
「……どうかされましたか?」
「ん?いや、俺の血が付いてないんだなって
首に手ぶっ刺したのに」
「來夢様の血なら全てお体に戻って行きましたよ」
「うわ、何それグロッ」
來夢は無意識に自分の首もとへと手をやる。
「……そう言えばさ、俺って吸血鬼の鬼憑らしいじゃん?」
「はい」
「じゃあ、よくある伝説みてーに日に当たると灰になっちゃったりとかしねーの?」
「……確かに日に当たると吸血鬼はダメージを受けると聞きますが、受けるダメージに対して再生力が大幅に上回っているので問題無いそうです」
「……あ、そう」
「それで、話を進めてもよろしいでしょうか?」
澪亜は心底どうでもよさそうに聞いてくる。
単に興味が無いだけなのかもしれないが。
「あ、どうぞ」
來夢もその気配を感じ取り話を進めるよう促す。
「……それで、吸血鬼の鬼憑と言うのはとても希少な鬼憑なのです。
優れた戦闘能力に、異能の強さ。
そして何よりも、その驚異的な再生力。
兵士としての適性がとても高い鬼憑なのです。
とある国では、吸血鬼の鬼憑が1人戦場に立っただけで劣勢だった戦況が引っくり返った、と言う逸話があります」
「……そんなに凄いのか」
來夢は感嘆の声を漏らす。
「ええ。」
「……にしては、俺には何の能力も無いようだけど?」
「それを今から説明致します。
吸血鬼の鬼憑は、その力の強大さ故に能力の覚醒までに長い時間を要します。
そして、その間に闇憑に憑かれるとその力は闇に流れていきます。
それは我が国において重大な損失である、として桜華当主が護衛をつける事を決定致しました
……闇憑については、知っておりますよね?」
澪亜は一応の確認の為に來夢に聞く。
「まあ、それなりには」
「……それなり、と言うのがどれ程なのか図りかねますのでご説明致します。」
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