プロローグ

4/6
前へ
/47ページ
次へ
「おはようございます、來夢様」  意識が闇の中から戻ってくる。  先程も聞いたような言葉が聞こえてくる。 「ん?ああ……」 「……お分かり頂けたでしょうか。 最強の鬼憑『吸血鬼(ヴァンパイア)』であることを」 「ああ……」  來夢は澪亜の指先を見つめる。 「……どうかされましたか?」 「ん?いや、俺の血が付いてないんだなって 首に手ぶっ刺したのに」 「來夢様の血なら全てお体に戻って行きましたよ」 「うわ、何それグロッ」  來夢は無意識に自分の首もとへと手をやる。 「……そう言えばさ、俺って吸血鬼(ヴァンパイア)の鬼憑らしいじゃん?」 「はい」 「じゃあ、よくある伝説みてーに日に当たると灰になっちゃったりとかしねーの?」 「……確かに日に当たると吸血鬼(ヴァンパイア)はダメージを受けると聞きますが、受けるダメージに対して再生力が大幅に上回っているので問題無いそうです」 「……あ、そう」 「それで、話を進めてもよろしいでしょうか?」  澪亜は心底どうでもよさそうに聞いてくる。  単に興味が無いだけなのかもしれないが。 「あ、どうぞ」  來夢もその気配を感じ取り話を進めるよう促す。 「……それで、吸血鬼(ヴァンパイア)の鬼憑と言うのはとても希少な鬼憑なのです。 優れた戦闘能力に、異能の強さ。 そして何よりも、その驚異的な再生力。 兵士としての適性がとても高い鬼憑なのです。 とある国では、吸血鬼(ヴァンパイア)の鬼憑が1人戦場に立っただけで劣勢だった戦況が引っくり返った、と言う逸話があります」 「……そんなに凄いのか」  來夢は感嘆の声を漏らす。 「ええ。」 「……にしては、俺には何の能力も無いようだけど?」 「それを今から説明致します。 吸血鬼(ヴァンパイア)の鬼憑は、その力の強大さ故に能力の覚醒までに長い時間を要します。 そして、その間に闇憑に憑かれるとその力は闇に流れていきます。 それは我が国において重大な損失である、として桜華当主が護衛をつける事を決定致しました ……闇憑については、知っておりますよね?」  澪亜は一応の確認の為に來夢に聞く。 「まあ、それなりには」 「……それなり、と言うのがどれ程なのか図りかねますのでご説明致します。」  
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加