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「……以上が闇憑の実態となります。
ご理解頂けたでしょうか。」
「おー、まあそれなりに?」
「ならよかった。」
「そう言えばさ、えーっと……」
來夢は名前を呼ぼうとして言い淀む。
「桜華澪亜です」
すかさずそれを察した澪亜が名前を口にする。
「あ、そうだ。
澪亜、サン?」
「澪亜で構いません。
私は、來夢様の護衛──従者のようなものですから」
「……えー」
「……」
渋る來夢に対してジト目で見つめる澪亜。
やがて降参と言うように來夢が手を上げながら言う。
「じゃあ、澪亜」
「なんでしょう、來夢様」
「──そろそろ入学式始まる時間だけど、大丈夫?」
「私は入学式に出席するつもりはありませんが」
「おい」
「離れていても気配は分かりますし、結界により多少の攻撃は防いでくれるので別に側にいなければならないわけでは無いですが、着任初日ですので出来れば來夢様のお側にいようかと」
「気配分かるとか怖いなぁっ!?」
「桜華の者として当然の事です」
澪亜は何て事無いように言う。
ちなみに気配の把握は本当に簡単な物だ。
「んーと、じゃあ、澪亜」
「なんでしょう」
「これは命令ね。
入学式に出席して」
何となくノリで言ってみた來夢。
まあ聞くわけ無いよな、と澪亜の方を見ると
「……畏まりました
では、失礼致します」
澪亜は深々と一礼した後目にも止まらぬ速さで消えていった。
「……いや、忍者か何かかよ……」
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