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性感帯──前立腺を刺激すれば気持ち良くなれるというのは、俺も勿論知っている。性指向に気付いてから自分でも触ろうとしたし、今までの相手が前戯に手を抜いていた可能性は無きにしも非ずだが、それでも探るように触る人は何人もいたし、その度に「何も感じない?」と首を傾げられた。
どんなに孔の中を弄ったところで、俺の身体はちっとも反応しなかった。快感なんてものとは程遠く、その行為自体が不快ですらあった。
「ん、あっ……!」
それがどうだ。この憎たらしい笑みを浮かべて俺の中を弄る男に、俺は前を弄る以外の初めての快感を覚えさせられている。
「っ……やめ、っあ……」
「やめて欲しい? 嘘を吐くなよ。さっきから腰くねらせて悦んでんじゃねぇか」
男の愛撫で刺激が与えられる度に腰が勝手にびくっと動いて、腹から全身に広がるような快感が伝わった。身体が俺の思い通りにならない感覚に、恐怖すら覚え始める。段々と刺激が強くなってきて、すぐそこまで限界が迫ってきていた。
「んっ……」
と、唐突に指が抜き取られ、押さえつけられていた腕から手が離れた。呆然と男を見上げる。解放された喜びよりも、「どうして急に」という戸惑いの方が大きい。しかしそれは、相変わらずの憎たらしいにやけ面の男が手に取った物を見て明らかだった。
「ああ、早く挿入れて欲しいってことか」
包装が破かれる音。そして、下着を脱ぎ捨てた男の下半身が露わになる。今までの相手にそれなりに大きい奴もいたが、そのいずれよりも存在感のあるそれに、目を見張った。
「安心しろ。お前のケツは今どんなブツを突っ込まれても裂けねえくらいにはゆるゆるだ」
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