おまえを好きなのはカラダだけ【試し読み】

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「……はっ、デカけりゃいいってもんじゃねーだろ」  憎まれ口の一つでも叩いていないと平静を取り戻すことはできそうになかった。息を呑み、男が俺の両脚の間に身体を割り込ませるのを見詰める。が、ゴムを装着した猛りが搾まりに宛がわれた瞬間、その圧迫感に反射的に身を引いた。 「逃げんなよ」  両脚を引き寄せられて身体を固定される。じたばたしても、もう逃げられない。 予感がした。このまま貫かれたら――俺はもう数分前までの俺には戻れない。 「ちょっと待っ……んっあっあぁッ……!」 快感がまるで電気のように全身を一気に駆け巡った。目の前が一瞬真っ白になって、息が止まる。 「っは……あ……はぁ……」 「お前、今自分がどうなってんのか分かってる?」  呼吸を整え、なんとか思考回路が回り始めた俺に、男は俺の腹を触った後、その手を俺の目の前にかざした。指の間を透明な液体が糸を引いている。  その液体が何なのか解ったのとほぼ同時に、男が俺を見下しながらにやりと笑った。 「挿入れただけでイったぜ? 前なんか少しも弄ってねえのにな?」  俺の太腿を男が撫でる。それだけの刺激で小刻みに震えていた俺の腰はびくんと反応して、中が男の茎を締め付けるように蠢いた。 「まだ半分しか入ってねーのに、このまま奥まで突っ込まれたらどうなっちまうんだろうな?」  自分の意思とは無関係に、もっと快感を欲するように痙攣する腰。自分の身体が自分のものではなくなったかのような感覚。ふつふつと俺の中で、恐怖心が湧き上がっていく。 「や、やだっ……こわい、っ……」  気付くと視界がぼやけるほど目に涙が溢れていた。
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