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初めてセックスした時、多少緊張はしたけれど怖くはなかった。セックスってどんなものなのだろうという単純な興味で行為に及んだし、相手も高校の同級生で童貞だったから、下手過ぎて緊張したのも最初の数分だけで、ほぼキレてた記憶しかない。だから、こんなに泣くほど怖いと思ったのは初めてだった。
「凛々」
初めて俺の名前を呼んだ、その柔らかな声音にはっとする。男は俺の手を取ると自分の背に回すように動かした。そして、俺の頬を包むように触れ、真っ直ぐに俺を見詰めた。
「大丈夫、怖かねぇよ。ちょっと天国にいってくるだけだ。帰りの切符も保証されてる。こんな安全な天国、セックスでしか味わえねえぜ?」
「……なんだよそれ、意味わかんねーわ」
こんな状況だっていうのに男の言種が面白くて、恐怖心が薄らいだ。それに、俺の頬に触れた手が、「大丈夫」と言う声が、想像以上に温かくて安堵する自分が居た。
「掴まってろよ」
俺の腰の両側を掴む男の手に力が籠って、また恐怖に襲われそうになり、男の背にぎゅっとしがみついた──その時。
「あっあぁッ……!」
俺の中を、男の肉棒が一気に奥まで貫いた。瞬間、意識が飛ぶほどの快感が俺の全身を突き抜けていった。
「っん、あっあっ、あぁっ……!」
その快感が、男が腰を突き上げる度に何度も襲ってくる。射精とは違う、終わりがない絶頂。腰は痙攣したままで、半勃起した茎の尖端からは涎のように透明の液体がだらだらと滴り落ちていた。
「あっあんっ、もぅやらぁっ……!」
絶対に誰にも招いたことのないところまで男の猛りは届いた。そしてそこを拡げて曝して責め立てた。演技でも出したことのないような恥ずかしい喘ぎ声が勝手に漏れ、俺はもう快楽に溺れて心も身体もどうにかなってしまいそうで、ただ男の身体に必死にしがみついた。
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