猫化する世界

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 ある日、目が覚めると、僕は猫になっていた。  けれども、猫になっていたのは僕だけではなかった。  お父さんも、お母さんも、お姉ちゃんも、弟も、犬のポチも、全員猫化していたのだ。  お父さん猫は働かない。会社に行く必要などない。だって、猫だから。  お母さん猫も働かない。ご飯を作ってはくれない。だって、猫だから。  お姉さん猫も、僕猫も、弟猫も、学校に行かない。もちろん、ポチ猫も。  みんなみんな、遊んでばかり。家の屋根でひなたぼっこして、お腹がすいたら近所の台所に忍び込んで、魚の1匹もしっけいすればいいのだ。  そんな風に生きてたら、「うらやましいな~」「私もひなたぼっこして生きていきたい!」「働きたくなんてないよな」などと近所の人たちも、うらやましがり始めた。  翌日。  魚屋さんも、八百屋さんも、スーパーやコンビニの店員さんも、みんなみんな猫化してしまった。やがて、日本中みんな猫化する。世界中みんな猫化する。  そうなると、誰も働かなくなって困ってしまった。戦争がなくなったのはいいけれど、誰も魚を捕ってこないし、スーパーに商品も納品しない。原発で働く人もいなくなって危険だ。  すると、今度は逆に猫が人間になって働き始めた。  猫だけじゃない。犬もライオンもカラスも豚も牛もクジラも、みんなみんな人間になって働き始めた。  すると、ケンカが始まり、戦争に発展し、一方で武器や兵器を売ってお金儲けしようとする人たちも現れる。  結局、役割が入れ替わっただけで、依然とおんなじ世界になってしまった。
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