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飯塚の持っているものと同じプリントが、亜衣の机の上にも配られていた。
「ようは、引きこもりがちな生徒がクラスにいれば、ケアをよろしくって、ことです」
飯塚が、小指で前髪を分ける。
少し茶色がかっていて、ふわりとセットされた飯塚の髪は、アイドルを意識しているようにしか思えない。
真っ白な歯を見せ、もう一度、髪に指を当てた時、キャッキャっと女子たちのざわつく声が漏れ聞こえた。
「えっ? どういうことですか?」
顔は、濃くてイケメンの部類に入るのだろうけど、亜衣は、飯塚の襟足が好きじゃない。
「学校側……つまり、教職員からの協力要請なんです。最近、引きこもりになって、学校に来なくなった生徒が失踪する事件が続いているみたいですよ」
(へぇ……なるほど……)
「じゃあ、会議はこれまでにしますね。皆さん、お疲れ様。ご解散くださーい」
飯塚がそう言うや、女子たちが、議長席に駆け寄り、質問タイムが始まった。
きっと、大した質問は無く、飯塚と話がしたいだけなんだろうけど。
飯塚は、学年を問わず、女子生徒からの人気も高く、それで、生徒会長になれたのは自明のことですから。
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