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亜衣は、チラリと腕時計を見た。朝のホームルームが始まる時間である。
「確かに、そうですね。でも、椋平虹は、地震が起こる前兆とは限らないんですよ」
「え? そうなの?」
亜衣は、答えながら上を指さし、階段を上り始めた。七宮もついてくる。
「はい。元々、椋平氏に虹の存在を教えたのは、地元の漁師さんたちなんです。漁師さんたちの経験では、虹が出た後に起こるのは、地震だけじゃなく、嵐や、洪水なんかの天変地異だったんだそうですよ」
「はぁ? じゃあ、どっちにしろ、不幸なことが起こるってことやん」
二人は階段を上り切り、廊下を進む。
「天変地異でも、不幸なことばっかじゃないんじゃないかと、ボクは思うんです」
「なんなん、それ? 例えば?」
「例えば、世界中で起こっている戦争や紛争が突然止むとか、UFOが出現して空からお金をバラまくとか」
「なにそれ? ポジティブすぎへん? 突拍子もない発想すぎて、ついてけへんわ……」
「ボクは、少し予知能力があるみたいなんです。だから、あの虹を見た時、なにか良いことが起こるような予感がしたんです」
「へっ? 七宮、予知能力あるん? 予知した結果が、UFOが飛来して、お金をバラまいてくれるって?」
「いやいや、違いますよ。それは、例として挙げただけで、そんなことは起こらないでしょ」
「じゃあ、なんなのよ。予知した結果は?」
「そ、それはですね……それは……」
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