1.平凡ではない日常のはじまり

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 一年の時、亜衣と七宮は、別のクラスだったけど、二人ともクラス委員をしていたから、月に一回ある会議では、顔を合わせていた――。 「はい、質問です。予算を全部足しても、百三十円合わないです。また、文化部への配布が運動部よりも低い理由を教えてください。同じ、部活動ですから同じであるべきだと思うのですが」  上級生の生徒会長にも、臆することなく質問する七宮は、印象的だった。 「いいじゃん、百三十円くらい。誤差だよ、誤差」 「誤差? それはダメでしょう。部活動費は、全ての保護者からお預かりした、大切な協力金を生徒会として……」 「はいはい、わかった、もういいよ七面鳥くん。あと、部活動費、カツカツなんで、新しい部活動の設立は、認められません。文化部会で、演劇部とか、設立申請が出てるみたいなんですけど、残念ですが、今年は無理です」  七宮は、生徒会長にあしらわれて、奥歯を噛みしめているようだった――。  解散した後も、しばらく、立ち尽くしていたから、きっと、相当怒っていたんだと思う。
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