1.平凡ではない日常のはじまり

16/17
前へ
/131ページ
次へ
 七面鳥というあだ名は、会話をすると『しちめんどくさい』ことが由来みたいだけど、会議でそんなあだ名を呼ばれたということもあるかもしれない。でも、それ以上に、生徒会長のいい加減な采配が、四角四面の七宮には許せなかったんだと思う。  一時間目が終り、二時間目が終り、三時間目が終わった……。  七宮は、今日も、休み時間になる度に、机に顔を突っ伏していた。  亜衣の知る限り、二年になってから、ずっとそうである。  クラス委員会議の後に、七宮に訊いたことがあった。 「なんで、いつも伏せてるん? そんなんされたら、話しかけづらいやん」 「ボクに話しかけたい人なんて、いないから、問題ないでしょ? それに、ボクが起きて周りを見てると、ボクの方が……」  そこで言葉を詰まらせたけど、七宮の苦しそうな表情を見て、亜衣には、続く言葉が想像できた。 (〝ボクの方が辛い〟って、言おうとした? きっと、クラスのみんなの行動は、許せないことが多いんだね。注意したくなるんだね……)  今もまた、顔を伏せた七宮の近くでは、机に座って談笑したり、早弁したりする生徒がいる。  そんな、モラルの低さが、七宮は許せないんだ……。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加