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「その部を生徒会で承認して、活動費が欲しいってか?」
再び、七宮がコクリ。
「アホ。部活動費が厳しいの知ってるやろ? 去年も、演劇部を設立したいって申し出あったけど、それも却下されてんだ。そんなの無理にきまってるやろ」
「し、しかし、生徒会長は、部活動の設立を許可する権利がありますゆえ、申請に対して公平に審査するというのも、生徒会長の義務のはずです」
七宮は、左の上腕筋をさすりながら、口をへの字に曲げて、こちらを睨みつけてきた。
「やりたいから、作りますって言ってきたヤツを全部許可してたら、破綻するわ。活動費を配るんやから、そんなに簡単に作られへんことぐらい、わかるやろ」
飯塚は、苛立って、両足をローテーブルの上に投げ出した。
七宮の言い回しが気に喰わない。ふてぶてしい態度も気に喰わない。
というか、そもそも、話題が気に喰わない。
黒縁眼鏡を鼻先に落として、上目使いで見てくる七宮。納得していないのは、一目瞭然だった。眉間と鼻に入ったしわが、ピクピクしている。
「でも、生徒会長には、部の設立を公平に審査するという義務が……」
飯塚はカッとなって立ち上がった。
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