3.正義の生徒会長

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「え、何? どうしたん、斗基(とき)ちゃん?」  窓際で、声を失い、そいつから、目が離せなくなっている飯塚の横に、咲が並ぶ。 「な、なに、あれ?」  咲もそれを見つけたのか、息を飲むように、手で口を覆った。  手と足の生えた巨大なスマートフォンは、何かを探しているのか、キョロキョロしながら、こちらに向かってくる。  そして、生徒会室の窓の真正面に立つと、ピタリと止まった。 「きゃっ、まぶっ!」  スマートフォンのバケモノが、強烈な光を放った。  フラッシュのような閃光だった。  ゴトゴトゴトゴトゴト……。 「きゃっ、な、なんなん!?」  背後の扉が、激しく揺れていた。 「な、なんなんや、コレ……」  飯塚は、目の前で今、何が起きたのか、理解できない。  それをあざ笑うかのように、黒々としたスマートフォンは、小刻みに揺れた。  そして、上下に体を揺らしたまま反転し、校門の方へと歩きだした。  川のようになって流れる雨水。  その中を行くスマートフォンは、大雨がカーテンのようになって見えなくなった。  飯塚は、ゆっくりと咲の方に向く。 「き、着ぐるみやんな、今の……」 「そ、そりゃ、そうに決まってるやん……。そうとしか考えられへんし……」
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