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「そういえば、最近、ソフトのグランドにも、よく不審者が入っきて、困ってるんやけど」
「不審者? グランドに?」
「うん。いつもバックネット裏に立って、気色悪い笑みを浮かべながら、ワタシらを観察してんねん」
バス停が見えてきた。
雨が降っているせいなのか、屋根の下に出来ている列は、いつもより長い。
「そ、それは、由々しき問題やな。学校側に、セキュリティ対策の強化を要請せなあかんな」
「そ、そうや! 生徒会長として、早く対策してや」
飯塚と咲は、バス停の屋根の下に入り、傘を畳む。
「了解。ちなみに、どんなやつなの、咲を観察してる、その不審者って」
「思い出すだけでキモいわ。ハゲで、濃い顔で、和服を着た中年の……」
列の最後尾に並ぼうとした時、すぐ目の前の男は、和装だった。
その男が、くるっとこちらに振り返り、パナマ帽を取る。
「ちょうど、こんな感じ?」
スキンヘッドの男が、自分の鼻先を指さし、ニヤリと笑った。
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