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飯塚は、咲の肩をバシバシと叩いた。
「ヤベェ、オレら、さっき、見てしまったのかもしれへん……」
ようやく事態に気付いたのか、咲がスプーンを動かす手を止める。
「そ、その悪霊の怪人とやらを……さ、さっき」
「そ、そうでなんですね……。それなら、急がないといけません。奴らは、関わった人間に災いをもたらします」
「災い……」
咲を見ると、咲は、ぽかんと口を開けたまま、氷像のように固まっていた。
スキンヘッドは、ぐいっと身を乗り出し、目玉がこぼれてきそうなくらい目を見開く。
「私は、もはや、おいぼれです。悪霊退治のできる若者……すなわち、魂導士を見つけ出して、託すのみなんです」
「そ、それがオレらってこと? そんなん言われても……、オレも怖いし、咲だって……」
尻目で見ると、咲は、顔の前で、スプーンを持った手を振った。
「イヤイヤ、無理無理無理無理。無理やって、おじさん。か弱い乙女に、何をさそうとしてるん? や、やめてや、ほんまに」
「いや、お嬢さんっ!」
バンっとテーブルに両手をついて、スキンヘッドが立ち上がった。
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