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咲は、ハンカチで目頭を押さえ、泣いていた。
飯塚は、自分の考えを咲に話す。
「これは、スマホ怪人の仕業だよ。チンケなイタズラのようやけど、このアングル……間違いない」
「誰それ? 生徒会長のストーカーやなくて?」
香川亜衣が口を挟んできた。
飯塚は、隠すことでもないと考え、昨日の顛末を香川に話した。
生徒会室で咲と二人でいる時、大雨の中に、スマホ怪人が現れ、写真を撮られたこと。
バス停で、スキンヘッドのおじさんに出会い、亰四条高に、邪悪な気が漂っていると言われたこと。
そのスキンヘッドに、魂導士を託されたこと。
香川は、飯塚が話を終える前から、どんどん表情が険しくなって、ついには、親指の爪を噛み、歯ぎしりしだした。
「か、香川さん? ど、どうした?」
「そ、それって……」
香川は、親指の爪を噛み切ったようで、口から指を離した。
「……鴨川の笛吹き男の事件と、同じやないの……」
「鴨川の笛吹き男?」
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