3.正義の生徒会長

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 飯塚が説明を求めると、香川亜衣は、眉をひそめ、すわったような目をして語り出した。 「ハーメルンの笛吹き男という童話は、知ってます?」 「な、なんとなく……。男が笛を吹いて、村中の子供を連れ出して、洞窟に隠したっていう話やなかったっけ?」 「さすがは生徒会長。だいたい合ってます」 「それが、どう関係あるん?」 「それと同じことが、昔、鴨川流域の街でも起こったんです。わたしが小学校に入学してすぐ」 「え?」 「わたしの通っていた小学校で、次々に児童がいなくなったの。どこかの男が連れ去ったって、騒ぎになったわ。警察も動いたんやけど、捜査も空しく……」 「こ、殺されてもたん?」 「ううん。殺されてはいない……。ただ、みんな、姿を妖怪や怪人に、変えられてしまったの……」 「マ、マ、マジで!?」 「マジで。当時のマスコミは、童話にあやかって、捕まらない犯人を『鴨川の笛吹き男』って呼んだみたいよ」  泣き疲れたのか、ようやく咲が顔を上げた。  飯塚は、咲と目が合った。
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