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ドーン!
初代タイガーマスクばりの、綺麗なローリングソバットがクリーンヒットして、スマートフォンを被ったヘンタイは、数メートル先に吹っ飛んだ。
「な、なんなのよっ! もう」
亜衣の格闘技オタクが役に立った。資料映像でしか見たことが無かったけど、初代タイガーのソバットは実戦で使える気がしていた。
「ガルル……グルルルルルリゥイ……」
うめき声が、どんどん遠のく。どうやら追いかけてきてはいないらしい。
「ふざけないでよね!」
走りながら後ろを見ると、変態スマートフォン人間は、右手をこちらに突き出し、待ってと言わんばかりの形で固まっている。
「キ、キモすぎるんだって、この、どヘンタイ!」
「キ、キタノ……」
苦しそうなスマートフォンから、そんなだみ声が聴こえてきたけど、亜衣は走るのを止めることなく、ただただ、憤慨した。
「は? わたし、キタノって名前じゃないしっ!」
ようやく、公園通りに抜け、歩道の先にバス停を見つけた。ほっとした矢先に、見覚えのあるツートンカラーが視界に入ってくる。
「ま、マジで!? 勘弁してよね、もう」
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