3.正義の生徒会長

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 『妖怪と怪人』というキーワードは、昨日、スキンヘッドからも聞いた。飯塚は、昔、鴨川で起こったその事件が、参考になりそうだという直感が働く。 「か、香川さん、その話、もう少し、詳しく教えてくれへん? 知ってる範囲でええから」 「うん、もちろん 」  香川は、ショートボブの髪を耳に掛けたあと、後ろ手に組んだ。 「連れ去られた児童には、共通の特徴があって、みんな、いじめられっ子だったんだって。そして、妖怪や怪人にされた後は、それまでの恨みを晴らすべく、いじめっ子らを襲ったの……」 「そうなんや! 鴨川の笛吹き男は、心に傷を負った児童ばかりを選んで、そこにつけ込んで、言葉巧みに騙したってことか」  香川は、コクリと頷く。 「たぶん、そう」 「で、その怪人や、妖怪はどうなったん? 殺されたわけじゃないって、さっき……」 「退治されたみたい」 「退治?」  今度は、咲が呟くように言った。 「魂導士(こんどうし)が、妖怪や怪人を退治して、子供たちを救ったらしいよ」
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