3.正義の生徒会長

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「パパは、うちの玄関にお(ふだ)を貼って、悪霊が入ってこれないようにしてくれたの。だから、わたしは連れ去られずに済んだんだと思う……」 「ス、スゲエ……。お(ふだ)の効力は、絶大やねんな」  香川は、何かを思い出したように、ブレザーのポケットの辺りをまさぐりだした。 「そうだ、お(ふだ)、持ってるわ。これ、これよ」  飯塚は、香川から二つ折りの紙を受け取る。  開けると、それは、昨日スキンヘッドからもらった悪霊退散のお(ふだ)と瓜二つだった。  飯塚は、香川にそれを返し、リュックを下ろして、中から紙の束を取り出す。 「こ、これ……」  香川に見せると、香川は、両手で口を塞いだ。 「うちに貼ってあったお(ふだ)と、ま、全く、一緒やん……」  飯塚は、自然と口角が上がる。お札の絶大な効力を聞けて、俄然、やれそうな気がしてきた。 (香川さん……グッジョブ!) 「よかったですね、生徒会長……じゃなくて、新しい、魂導士(こんどうし)さん。そのお(ふだ)で、学校を救ってくださいね」  そう言って微笑む香川亜衣が、女神のように見えた。
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