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「おはようございます。香川さん」
「お、おはよう……。って、し、七宮さぁ……、オマエも、ちょっと遅いんやないの?」
「はい? なんのことでしょうか?」
「えっ? 七宮、ひょっとして、忘れてる? 今日のこと……」
マッシュルームのような髪型の七宮は、C組のクラス委員長だった。亜衣と共に、今日の早朝会議に出席しなければいけないはずの……。
そう、この男こそ、亜衣が気になって仕方ない男子であった。
「忘れてないですよ。ちょっと、遅くなってしまいました。いつも自転車通学やったので、バスで通う時間……計算を誤ってしまったわけですね」
「なに、それ? 開き直ってんの?」
「開き直ってないですよ。反省しきりです。チョンボです。でも、やってしまったことはしょうがないです。議長さんや、他のクラス委員さんたちには、申し訳ないですけどね」
堂々としている。
七宮は、クソがつくほど真面目な男子なので、会議に遅刻してしまうことの後ろめたさを感じているはずなのに。
さっき追い抜いたツートンカラーのバスが、のっそりと二人の横に停まった。
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