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♰
亜衣は、七宮の背中に隠れるようにして、早朝のクラス委員長会議が開かれている教室に入った。
教室は静まりかえっている。十五分も遅れたので、すでに会議は終わりかけているのかもしれない。
「す、すみません。遅くなりましたぁ」
前を歩く七宮が何も言わないで席に着くので、息苦しくなった亜衣が、先に謝った。
「おはよう。二年C組は、二人そろって遅刻? 相変わらず、息ピッタリやねえ。さすがっす」
議長を務める、生徒会長の飯塚斗基は、シャーペンをクルクルと回して、笑う。
「すみません。た、たまたまなんですけど、バス停で偶然、会って……。忘れてたわけじゃないんです」
「ハハハ。オレも、別にそういう意味で言ったんやないよ。気にしないで、座って」
教室中、いろんなところから、クスクスと笑い声が漏れる。
亜衣は、顔を火照らせながら、椅子を引いて座った。
「七宮君と香川さんには、申し訳ないけど、もう、詳細な説明は終わってしまったんで、ポイントだけ、簡単に言いますね」
飯塚は、プリントを持って立ち上がる。
教室にいる女子たちがざわついた。
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