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オレ、速水 遼 3年
頬杖ついて、隣の娘を眺める。
ほんのり紅いほっぺた、ソソる。
薄手の白いニット、色白のこの娘によく似合う。
筋肉すげぇ直人さんと純情そうなこの娘?
不釣り合いな気もするけど、あの身体に抱かれてんの?そんな経験なさげ。
「俺、速水遼、3年」
「…あたし、植村…花音、もうすぐ卒業よ」
「は?4年?」
ウソだろ、女子大生の4年てもっとこう…色気あんだろ、出るとこ出てて。歳下かと思った。
直人先輩、こっち見向きもしない。ほんとに彼女?ほったらかしじゃん。
「ふー、少しラクになった」
「飲まされた感じ?」
「かな」
「来なきゃよかったんじゃねーの」
「ね、ほんと」
奥でワイワイしてる先輩見て
「最後だからおいでって…珍しくしつこくて」
「普段は?あんま?」
「…なんのこと?」
「ベッドに決まってんじゃん」
「ええっ?さっき会ったばっかりでそんな話?」
飲み会だぜ、なんでもアリだろ。
「どーなんかな、って単なる興味」
「普通って…どうなのかな」
ちょこん、と首傾げる仕草、あどけなさが残る。
「人それぞれだろ、毎日ってやつもいるし」
「そんなに?」
そこまで驚く?
「週2?」
「…ひと月…ない」
「え、それ他にいんだろ」
花音の顔色がサッと変わる。
「…ね」
盛り上がってる先輩たちを見やる。
「直人、淡白なのかなって思ってたけど…違うね」
俺から吹っかけたけど、どーすっか。
肝心の彼氏は女子んとこだし。
「フルーツベースなら飲めそ?」
「…桃とかいちご好き」
甘めのカクテル飲みながら、ぽつりぽつりと自分のことを話し出す。
女は抱ければいいやと思ってる俺は、束縛されんのが嫌で、毎回その場限り。オンナには困んないし恋愛なんてめんどくせぇ。
話聞きながらベッド、てのが俺の定番だけど、花音はそんなの知らねぇもんな。
「ふぁ…眠たい」
「肩貸してやるよ、終わるまで寝てれば」
「いいの?ありがとう、優しいのね」
センパイの彼女だし、手ぇ出す気ねぇけど…
ひとしきり飲んで戻ってきた直人先輩、寝ちゃった花音見て
「わーりぃ遼ちゃん、その娘お願いできる?」
「え?」
「卒業したら会えなくなるっしょ、朝まで飲もうってなってね。ヤならいいよ、起こして連れてく」
「あー、いッスよ、責任持って預かります」
「サーんきゅ、助かる、じゃーね」
手をヒラヒラさせて店を出てく。
つーかセンパイ、最初っからこの娘、オレに預ける気だったろ。
直人先輩を好きな子、サークルに数人いんの知ってるし。
今夜は何人かとよろしく、だとしたら花音気の毒すぎじゃね、しかも相手がオレって。
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