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終電逃した花音、遼の部屋で
「…んっ」
起きたと思ったらまたスヤスヤ…疲れてんだな。
白いニットにシルバーのネックレスがよく似合ってる花音。
俺にすっかり寄りかかって、ニットからブラ少し見えんの。
こんな透けるような白い肌の娘見たことねぇし、まつ毛長いし、直人さんが花音を自由にしてたと思うとイラッとする。
経験なさげだけど、いいトコついたらどんな顔してどんな声あげんの?
いー匂いでやらかい胸当たってて(細身だけどそこそこサイズありそ)俺の好みに近い。
「…すっかり寝ちゃってた…直人たちは?」
「とっくに二次会、行くなら連れてくけどどーする?帰る?」
つっても終電終わってる。
「…どうしよう」
「なん、どした」
「終電…行っちゃった」
わかってて起こさなかった俺、意地悪?
「あと5分早く起きたら間に合ったのに…」
やべ、困ってる顔ソソる。
「やっぱり、来るんじゃなかった」
半べそで帰り支度してる花音。
朝まで空いてる店、あるにはあるけど女のコ1人じゃ危ねーぞ。
「オレんち来る?」
「…え?」
「アパートすぐそこ、来ていーよ」
「…いいの?助かります」
いや、俺んちの方が危ねーか?
「隅で…邪魔しないから少しだけ、場所貸してください」
こんな謙虚なこと言われたの初めてだわ。
「構わねーよ、遠慮なくベッド使え」
鍵開けて部屋に入る。
「なんもしねーよ、センパイの彼女だし」
ありがと、って苦笑い。
「風呂沸くまで待ってろ」
「いいよそんな、悪いし」
「オレが入りてーの、あとこれ」
Tシャツとスウェット、キレイめなの渡す。
「着替え、デカいけどどーぞ」
「…ありがとう、優しいのねほんと…速水くんって」
優しいなんて、滅多言われねーけどな。
「フツーだろ」
「…助かります」
少しは気持ち落ち着いたかな、って俺が気にすることじゃねぇか。
「飲む?」
「…あったかいの、もしあったら」
「どっかに紅茶…あった、待ってて」
「ありがと」
風呂沸くまでに俺はビール、花音にはミルクティー。
「…おいし」
フーってしながら両手でマグ持ってる花音、俺が知ってる女たちとは纏う空気が違う。
センパイの彼女ってだけじゃなく、何となく手ぇ出せない雰囲気。
「毎日バイト?」
「うん、ケーキ屋さんで」
「花音に合ってんな」
「そう?ありがと」
出会ったばっかで、花音に何回お礼言われたろ。
いつもの俺ならさっさと食っちゃうんだけど、まったりこうしてんのが心地いい。
こんなん初めて。
「風呂沸いた、先どーぞ」
「私、後で」
「いーから、先入れって」
タオル渡し忘れたの気づいて声かける。
「バスタオル置いとくぞ」
「うん、ありがと」
きっと細やかな気遣いのできる娘なんだろな。
…さっき見えた、花音の白い肌思い出す。
花音、風呂で今…やば、思っただけで反応しやがった、思春期かよ。
「お先にありがとうございました、気持ちよかったー」
化粧落としてスッピンで、ぶかぶかの俺の服着てる花音、なんでこんな警戒心ゼロなんだよ。
俺をオトコって認識してねーの?
「寝てていーからな」
頭ぽんってして風呂へ。
俺らしくねぇな、オンナに優しくすんのは下心あるときだけなのに。
スッピン色白で好みの娘が目の前いて俺、何もしねーの?って、下心あるか。
「あ、おかえりー」
さっきより俺の部屋に馴染んでる花音。
素なのかな、可愛いじゃん。
「寝てていーっつったのに」
ベッド1個だけって必然的に一緒に寝んだけど。
「毛布とか借りていい?始発で帰るから」
「寒ぃから布団で寝ろって、風邪ひくぞ」
珍しく優男な俺。
いつもならガツガツいくのに。
「…でも」
「いーっての」
先にベッド入って、隣ポンポンってすると
「…お邪魔します」
遠慮がちに花音が入って、足が触れた。
そんだけでドキッとして
「…っ」
すかさず花音を抱きしめる。
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