🦸‍♀️1話 White bird🦸‍♀️

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 白い鳥が家々の門構えに2羽。【白い鳥】は新たに活動している宗教団体。訳ありな人たちを支援をしている団体だとRUIのトーク画面に張られた画像には書かれている。 「あなたがたも自由に羽ばたきたくなったひとりですね」 【自由に羽ばたいて輝かしい日々をあなたへ】  ホームページ上で大きく書かれていた文字。警察が潜入捜査をしていると勘ぐられた様子はない。 「あたしたち、もうどうしようかってぇ」  きなこが肩に体を預けて泣き真似のふり。私の方に女性の視線が向けられる。スーツはくたびれ、靴は泥がいている。就活に疲れはてた姉の服装にしては弱すぎる。 「落ち着いて泣かないで」  きなこに寄りかかるときに、足が見えやすいように傾かせる。伝染したストッキングすら買えないのだと思わせるため、膝頭にはヒロコが作ってくれたきずがある。 「よぉぉぉく来てくださいました。わたくし白い鳥代表の白鳥(しらとり)と申します」  白鳥の方に視線を向ける。白いだけあって御着は白一色に統一されている。黒髪は肩までのボブ、年齢は40代半ばくらい。薄化粧で細い目に、大きな鼻、小さな唇は乾ききってひび割れている。  白鳥が挨拶を交わし終えると、家々から白い服装をした住人たちが拍手で出迎えてくれる。  住民たちの方に会釈をしながら、大月を探している私たち。気づかれる前にすぐ視線を白鳥に向き直す。
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