16人が本棚に入れています
本棚に追加
家族のような関係性でいるのは、みやびを保護し守るため。朝食を食べ終え、用意していた服に着替えるため、隣の和室に向かう。数時間しか経っていないけれど、みやびが人見知りをしない性格なのは助かる。
「複雑だよね」
みやびにとっては、私は母親の恋のライバルに見えるだろう。同じ位置には立てていないけれど、ライバルに向ける視線は母親に向ける視線とは違う。
【作って】
水島のラインはいつも短い。要点を伝え終えると後は帰るまで見ないライントーク。ギシギシと床の音が鳴り響く家。
【了解】
返信は返らないと知ってても送っておく。水島のお祖母さんが老人ホームに入所し、定期的に窓を開けに来ていたマイケル家に訪れた水島とは15年ぶりの再会。
🦸♀️🦸♀️🦸♀️🦸♀️
「準備はいい?」
隣にある実家からママチャリを借りて、後ろにみやびを乗せて、ヘルメットとシートベルトを装着する。
頷くだけか。話せないわけじゃない、様子を見ている視線。私は大月家に雇われたシッターさんとして、保育園の先生たちには連絡済み。
「行くよー!!」
ペダルを漕ぐ、オレンジ色のチャリは実家の屋根と同じ色。原色系は元気が出る。
信号待ちで停車していたとき、背中をツンツンとみやびの指が突いてくる。背後を見て、私のヘルメットから出ている、赤髪を指すみやび。
「いいでしょう。ヒーロの色!!」
30歳でヒーロー論は痛いかな?でも、私はヒーロー論に救われた。幼馴染みの水島を好きになったきっかけでもある。
最初のコメントを投稿しよう!